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≪Z900RS、CAFE専用タンデムバー ABSロングテールカウル用≫

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今回紹介するのは≪ARCHIロングテールカウル専用グラブバー(仮)≫です。

まずはこの製品を開発する事になった経緯からご説明させていただきます。

 

ご存じの方も多いと思いますが、“ARCHI”製品を取り扱うPMC.Incは、30年以上に渡り、「KAWASAKI Z」を中心としたカスタムを手掛けてきました。(今も手掛けています)

 

長い歴史の中で培われたひとつの不文律のようなものがあり、それは現在Z系を筆頭に再びブームとなっている70‘sカスタムが流行る迄のカスタムの主流は「基本的には、二人乗りを想定しない」ことから”タンデムバーを取り付けない”というもの。

その延長線上の流れを汲みZ900RSのカスタムメイクもタンデムバーの存在を完全に概念から外れたままロングテールカウルのデザイン、設計に至ったわけです(汗)。

 

勿論、この造形美をイメージしている時から始まり現行のver2に進化を遂げた時もタンデムバーの併用は想定しておらずイメージ写真に含まれる事もありませんでした。

ところが。

時代は変わりました。

ARCHIロングテールカウルを愛用いただいているユーザー様から寄せられたのは「ARCHIからロングテールカウル専用のタンデムバー出さないの?」の声。

 

直接・間接に寄せられる「ARCHIのロングテールカウルと純正のタンデムバーって、全く以って相性が悪いんですよ」という声に押され、「そうなん?」と思いながら実際デモ車にてその組み合わせで組み付けたところ。

 

驚愕の事実が発覚し、そのまま開発が始まりました。

 

 

■ABSロングテールカウル×純正タンデムバーが抱える3つの問題点

ポイント1)

ロングテールカウルの流線形に拘りカウル上面を盛り上げたためにカウル上部とグラブバーの隙間幅が狭く、見た目が窮屈な上に「グラブ(握る)バー」なのにバーが握れない。

*リアカウル保護のため養生を施しております

 

 

ポイント2)

サイドから見た時に、カウルとバーの角度が合っていないため美しくない。

純正バーは後方に向かって上向いてるのでバーが先細くなっているように見えます。

 

 

ポイント3)

上部からの角度も後端に向かってシャープに絞り込まれるロングテールカウルのデザインに対し、純正グラブバーは真っ直ぐ平行に伸びてかなり野暮ったい感じ。

 

 

細部にまで こだわりぬいて製作されたロングテールカウルの造形美を、そのままの純正タンデムバーと併用するには見逃せない問題がこれだけあります。

 

しかしARCHIをご愛用いただいているユーザー様の為にも、これらの諸問題を全て解決しながら「ロングテールカウルに最も映えるタンデムバー」を設計し開発していきます。

 

 

■開発開始

まずは純正部品取り付け時に採寸したデータをもとに、完成後のイメージを仮想空間で作成し、次に3Dプリンターで実際のパーツを出力します。

出力したパーツを取り付け、イメージと現実のギャップを洗い出します。先に問題となった3点を比較してみましょう。

 

 

ポイント1)

カウル上部とバーとのクリアランス

約40㎜上方向に伸ばすことで高過ぎず低すぎずバーを握ってもゆとりのあるクリアランスを実現しするとことでこのレベルを維持することに決定。

 

 

ポイント2)

サイドから見た時の、カウルとバーの角度

カウルとバーの角度をほぼ平行線上に合わせ、グラブバーが特別に専用品で設計されているイメージ通りになりました。良い感じです。

 

 

ポイント3)

上部から見た時の、カウルとバーの角度

目的である「カウルとバーのライン」は揃っています。リアに向かって秩序を保ちながら収束していく感じがこれまたオーナー様にこの上ない喜びを感じて頂けるイメージ通りです。

 

 

個別のポイントはクリアしました。

 

しかし。

 

取付後の車両全体に対するバランスが良くありません。もう少し引き締まった印象にしたいところです。

どうみても何となく貧弱というか貧疎な感じが拭えなく検討の結果、パイプの径を純正品の19㎜からZ2用や標準のハンドルーバーに用いられる22㎜径にサイズアップする事で迫力と存在感、それに安心感をも兼ね備え4番目の課題も超越することが出来ました。

 

ここから細部を修正し、納得のいくフォルムが出来上がるまでトライ&エラーを繰り返します。

ARCHIのロングテールカウルに最も映えるタンデムバーは、現在鋭意開発中です!